世界ふらふら放浪記

雑記と人生の備忘録

ローマほのぼのストーリー(10万リラ編)

ある日。
ボスがいつものようにホンダのでっかいモトリーノに乗ってご機嫌で帰ってきた。
おみやげに私たちの大好物のシャウエルマン(ケバブ)を抱えてきて「食え」と言われ、
私たちはハイエナのごとく群がり、やっぱここのは美味しいねなどとのんきに談笑していた時。

ボスがカウンターの引き出しをあけて売上をチェックし始めました。

!注意!
ボスはキャッシャーに現金を入れることを全く好みませんでした。なぜならそれごと盗まれたらどうしようもないからです。なので、レジが置いてあるカウンターの引き出しに整理箱を作り、鍵をかけて厳重管理していました。レジ係はその鍵を常に持ち歩いておくという仕組み。

また、日本だと誰でもレジをいじれますが、イタリアは違います。
レジ係という担当者のみがお金を触ることができ、ある意味その役割は「信頼された人」の証でもあります。更にレジがあるカウンターにはレジ係以外は誰でも立ち寄ることができません。それだけ現金の取り扱いに関してはシビアなんです(身内でも盗みが多いので)。
たまたまその日はボスからの信頼が厚い人がたくさんいたので(そういう店も珍しいですけど)、お掃除係と番人のウクライナ人以外は全員レジを担当していました。


イメージ 1  イメージ 2 ※10万リラはカラヴァッジョ


私たちがシャウエルマンをもぐもぐほおばっていると・・・

「なんじゃこりゃぁ~!!!!」とボスの声。

手にしているのは100,000リラ紙幣。かなりの高額紙幣です。一万円札と思ってください。
だから何なのと言わんばかりにみんながボスを冷たく見る。

「誰が一体誰がこのクソ札を受け取りやがったんだこのボケナスめが!!」

誰が、って言われたってね。わかんないよ。

「こいつは偽札だぞこの能無し野郎どもめが!!お前らの目は節穴かこのマヌケ~」

・・・ええええ??偽札ぅ~?

と、シャウエルマンと紙ナプキン片手に近寄って見たら、言われると確かに印刷の色が嘘っぽい。
紙幣の紙も若干厚い気がする。
よりによって10,000リラで偽札なんて・・・。
誰が受け取ったかなんて全然分からないけど、うちが相当損した事は多分間違いない。

もうボスは激怒り。体を斜めにしてみたり両手を振りかざしてみたりもう大変。
いつものようにこってり絞られた後、その偽札を持って向かいの(かなり怪しい)両替所に行って偽札のレクチャーを受けた。怪しい(ぼったくり)両替所だからこそ、レクチャーにも真実味があるのです。

その後、ボスが赤マジックでその偽札に「ニセモノ」と書き込み(意外と女性っぽい字です)
レジの近くの壁に、ほとんど戒めのごとくずっと貼られていました。
それ以来私たちも高額の紙幣を受け取った時は、あの怪しい両替所で教わった方法で確認してから受け取るようになりました。ま、それもほんの数ヶ月の間でしたけどね。



【教訓】
ボスの持ってくるシャウエルマンは激ウマだ

うーん、話の脈略と全く関係ない。


Ciao tutti. Ci vediamo alla prossima volta.(さようならみなさん、また次回にお会いしましょう)

※ボスがなぜキャッシャーに現金を入れなかったか、実はもう一つ秘密がありますがそれはまた別の機会に。