世界ふらふら放浪記

雑記と人生の備忘録

ローマ地元っ子の海

ローマの夏は30分も外を歩けません。陽射しが半端なく強いので、あっという間に熱中症になってしまいます。
また、イタリアには「氷」が存在しないので、バールで冷たいものを頼んでも瞬く間にぬるくなってしまいます。ベネト通りなどにある高級バールは別として。

むろんそれでは暑さに耐えられない。
そこで海が登場します。
ローマから一番近い海水浴場はオスティエンセと呼ばれる場所にあります。電車で小一時間くらいだったかな。全開にした窓からゴロゴロ転がる遺跡を眺めながら電車は郊外を走っていきます。

実に懐かしい写真です。私自身もこれを見るのは随分と久しぶり。これらは私がローマに住み始めてから間もなくの頃の写真で、おそらくこのブログ史上最古の画像といっても過言ではないでしょう。

> オスティエンセの海

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>シャワー
砂落とし専用シャワー。脱衣所のようなものは一切ありません。ヨーロッパはどこもそうですが、水着の上に服を着てそのまま出かけ、帰ります。びしょぬれでも大丈夫、どうせすぐ乾くので。

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ちょっと歩くと海辺の街並みが現れます。
イタリアは郊外や田舎にいくと本当に昔のまんまの街並みが残っています。これなんかは典型的な古い南イタリアの風景ですね。いいなー。

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このワンコちゃん、もろ直射日光にあたってますね。さすがイタリア犬、人間同様に日光浴を怠らないってわけですね。すばらしい根性の持ち主です。日向が好きなのは猫だけではないということが実証されております(毛がある分、人間よりも相当のハンデを感じますが・・・すごい奴だ)。


> ふと、お店。
日用品とかはこういうお店で結構済ませられます。古着とかオバちゃん(シニョーラ)用のでっかいワンピースとか売ってます。当時はまだリラの時代だったから、こういうところは特にめちゃくちゃ安かった。ほら、シニョーラが何やら物色しています。

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> ふと立ち止まると・・・こんな風景によく遭遇します。

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むかしむかし、ずーっとむかし。
これにチョットだけ似たような景色を絵に描いたことがあります。図書館から借りてきた本の、最初の何ページかにこんな雰囲気の写真が載っていて、(実際はもっと古い町並みがズラーッと並んでいるんですが)思わずそのページをビリリと破いて本をこっそり図書館へ返し、破いたページの写真を見ながら描いたんです。そのせいか、こういう景色に出会うとつい立ち止まってしまう。きっと個人的にツボなんでしょうね。

オスティエンセに行って何より楽しみだったのは、帰り道に駅前の寂れたバールで売っている「Suppli(スップリ)」と呼ばれるライスコロッケみたいなやつを食べる事!
カラリと揚げたトマト味のライスの中には、モッツァレッラチーズのブロックが入っております。これ、たまに売れ切れていたりすると心底ガッカリしたものです。チェッ!!

ちなみにスップリと呼ぶのはローマ地方だけのようで、北イタリア(ジェノヴァ)では「そんな名前聞いたことないなぁ。呼び方もフランス語っぽいよね。(←確かに)」といわれたことがあります。シチリアでは「アランチーノ」と呼び、洋梨みたいな形をしているのに対し、ローマではカニクリームコロッケみたいな形をしております。地方によっては形状も呼び名も変わるようです。

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赤いゴミ箱の上のショーケースにちゃんとスップリって書いてあります。ローマ市内の切り売りピザ屋でも、このスップリに出会うことが出来ます。


オスティエンセの海は、何度も何度も足繁く通いました。おかげで毎年丸焦げです。でも焼けた肌に濃い目の茶色や真っ白な服を着たりするのも好きだったし、たまに吹く夏の夜風がいつもよりとても心地よかったり。

世の中っちゅーもんは、いろんな楽しみ方があるものですね。

ヨーロッパの旅に出かけた時は、水着を常備しバックパックにはゴザを吊るし、いつでも海に入れるようにスタンバイ。各地の様々な海を楽しんだものですが、オスティエンセの海はちょっと思い入れが違う。大してきれいでもなく名もないこの海は、なんとなくふるさと的な感じがするんです。思い出すと胸がキュッっとなります。

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イタリアの何が好き?という質問に答えるのは、とても難しい。
いろいろある中で一つ挙げるとしたら、まずはこういった景色かな。。これだけはけして裏切らない。