世界ふらふら放浪記

雑記と人生の備忘録

サンバランソ・トリオ/サンブルース

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サンバランソトリオ/サンブルース


セザル・カマルゴ・マリアーノ(piano)
ウンベルト・クライマール(bass)
アイルト・モレイラ(drums)


60年代にブラジルで旋風を巻き起こしたが、レーベルが社名変更するなどいろいろな事情が重なり、当時初版で発売されたこのアルバムは一気にレア盤と化してしまったらしい。

ブラジルジャズ?クラシック?それにしてもこのブラジルらしくない味付けといいジャズと形付けるのも躊躇してしまうような、かと言ってクラシックに属しているわけでもない。コンテンポラリーというには年代が古すぎるし、とにもかくにもガツンとくるアルバム。

デジタルマスタリング化されていないため、ピアノの荒削りな音がまた心地が良い。アナログな質感を好む人だっているだろうし、むしろそれで味がでるような音楽だってある。
ベースとピアノの掛け合いが見事で、ドラムのスパイス的要素且つ滑らかな響きも絶妙のトリオ。
さりげなくドラマティックでロマンティックなムードを作る。全体的にバラつきもなく、統一性があって聴いていて非常に心地が良い、素晴らしいアルバム。

先日ようやく読んだ本の中で、ある音楽家が語ったこんな下りがあった。

「テクニックというのはミュージシャンにとって、あるいはほかのどんな分野の芸術家にとっても、モラリティーのもっとも初歩のしるしなんだ。」
つまり、テクニックがなければ何も始まらないと。

対して著者はこのように語る。

「彼が言っているのはまっとうなことなのだろう。でもそれはあまりにも正しすぎる。彼の述べている事は、言葉としては、理論としては、クリアで正しい。しかし人々の魂にとっては、それは必ずしも正しい事ではない。魂というのは多くの場合、言葉や理屈の枠からはみ出した、とてもクリアとは言えない意味不明なものごとを吸収し、それを滋養として育っていくものだからだ。」


なんていいことを言うんだろう、と思った。本当にその通りだ。
私がこの著者を最も敬愛している理由はこういうところにある。
そしてこのトリオにしても同様の事が言える。ハーモニカを嫌いアルトリコーダーを倦厭する私が言うのも何だけど、このトリオはさほどヒットしていたわけでもない(本国では別かもしれないけど)し、アレンジだって「え?こんなふうに終わるの?」って感じもする。

けれどこれだけ毎日聴いていると、そんなことはどうでもいい事のように感じてくるのはやはり、音楽の素晴らしいところだと実感せずにはいられない。というか、弾き手と聴き手の呼吸がピッタリくればそれはどんな音楽にもいえることだと思うけれど。

本の帯にこう書いてあった。
「月が消え、恋人に去られ、犬に笑われても、なにがろうと音楽だけはなくすわけにはいかない」
帯を書いた人はイマイチだけど、「犬に笑われる」とは・・・カーヴァーの話なのかしら。


何となく寝る前に自分が思ったことを書き留めておきたかっただけです。

チャオ、ボナノッテ☆彡