世界ふらふら放浪記

雑記と人生の備忘録

タランティーノさん。

お昼過ぎに恵比寿に向かう。

歩く歩道をサッサと進みながら、確かガーデンプレイスで野外シネマやるってネットで見たような気がする・・・と考えながら歩いていたら、ふとローマの野外シネマで「ジャッキー・ブラウン」を観たのを思い出した。
あの時はイタリア語もほとんど分からなかったし(ヨーロッパは字幕はなく吹き替え)、展開も理解できなかったな。帰り道すごく怖かったなとかタランティーノのパルプ・フィクションが最高だったので、ジャッキー・ブラウンも楽しみだったのよね、大好きな監督だなぁ~「フォールームズ」のラストもおもしろかったし、痛快って言葉がぴったりだ!と、めくるめく回想の世界にふけっていたんです。

そして夕方。
予約していたお店に向かう途中あるパブの前を通り過ぎたら、外人さんが一人ビール飲んでたんです。あの辺ってたくさん外人いるし、別に何とも思わず通り過ぎたら友人が一緒についてこない。「?」と思って振り返ったら、私の腕を引っ張ってこう言いました。


え?まさか。って言った後よーく見ると・・・
それは確かにタランティーノさんじゃありませんか!!
しかもたった一人で、直径500円玉くらいの太いシガーを吸いながら本を読んでいたんです!!!

パブの前を歩く人は誰一人としてタランティーノと気付いていない。友人は私に「サインもらえ」だとか「話しかけろ」とかワーワー言ってくるし、私は私で感動、興奮と緊張で黙りこくっちゃうし。勇気を振り絞ってお店に入ったら、マスターに「今日はちょっと」と言われたので、大人しく引き返した私。いいの。。プライベートだってあるだろうし。

その後大興奮しながら食事を終えて、まさかまだいないよねって言いながら先ほどのパブの前に行ったら、なんとタランティーノさん、まだいました!映画関係者がたくさん溢れていてパーティーしてました。しかも本人は堂々と戸外でファンと話してるじゃないですか!しかも立ち去ったファンの後を追いかけてまで映画のパンフレットを渡している始末。。なんて気さくな人!まるでスタッフみたいだ。

すかさず私も今がチャーンスとばかりに、タランティーノさんのもとへ。

「あの、すみません。私たちめちゃめちゃ大ファンなんですけど。。。」(すごく緊張した)

(タ)「あっ!どうもありがとう!」

(私)信じられません。私、かなり興奮してます。ちょうどタランティーノさんの話をしていたところだったんですよ。あの、今日デヴィット・リンチの「インラインド・エンパイア」観たんですけど、どうも難解で難しかったんです。タランティーノさんはもうご覧になりました?

(タ)→かなり乗ってきた。「イヤ~!あの映画、今あそこ(ガーデンシネマの方向を指して)でやってるよね!あれが公開された時パリにいたんだけど、まだ観てない、まだ観てない、まだ観てないんだよ!!(←確かに3回繰り返した)そうだね、確かにリンチの世界は難解だよね、ちょっと理解するにはね。」

(私)あの、タランティーノさんの映画で一番好きなのがパルプ・フィクションなんです!

(タ)→表情が更にほぐれる。「ほんとに??!!嬉しいねー観てくれてるんだね。」

(私)レザボア・ドックスも最高です!

(タ)→本当に嬉しそうだった。「ワー、マジで?!ちょっと待ってて!」

そう言って、9月から公開の彼の最新作のパンフを駆け足で持ってきてくれて、なんか言われたけど興奮して覚えてません。。悔しいな~(涙)。そして会話の途中も最後までも、何度も何度も数え切れないほどの握手をしてお別れしたのでした。

何とも気さくで、オシムみたいに大きくて、ちょっと酔っ払っているせいもあってか、とってもナイスな人柄、私は感動と興奮で本当に倒れそうになりました。

昔、パリに長く住んでいた友人がお花屋さんに行ったら、店中のバラを全部買い占めている人がいて「すごいなー」と思って横を見たら、マストロヤンニだったって話を聞いたときも驚いたけど、今回のこの偶然は個人的にはすごくうれしいことでした。

これはきっと、先週いっぱい頑張ったからそのご褒美に違いない・・・。都合の良いふうに解釈するのがbeabea流。
という訳で、彼に代わって宣伝しましょう。

タランティーノデス・プルーフ」×ロドリゲス「プラネット・テラー」in GRINDHOUSE
アメリカでは話題性はあったものの、いまいちヒットしなかったこの2本立て。
日本ではそれぞれをディレクターズ・カット版にして独立上映されるそうです。ただし。六本木ヒルズのTOHOシネマでは8月24日~31日までUSAヴァージョン二本立てを期間限定公開します。それ行こうかな~。


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GRINDHOUSEとは?
60~70年代に多く存在したB級映画ばかりを2~3本立てで上映する映画館の総称。かつて、想像力の限界に挑戦する低予算映画にどっぷりとはまっていた映画少年タランティーノがそれをイメージして仲良し監督ロバート・ロドリゲスと共に新しい試みに挑戦した。
(この二人ってすごい仲良しなんですって)




アメリカでは不評だっていっても、そもそもB級映画をモチーフに作ってるんだからいいんじゃない?って感じがします。映画って別に大しておもしろくなかったとしても、妙に印象に残ってるワンシーンとかあります。それを何かの時にふと思い出して、「あれ何の映画だったっけ」と考える。それだけで価値ってあるんじゃないかと思う。この前観た「ブラック・ダリア」もそうだった。内容的にはまぁまぁだったけど、富豪のお母さんが奇妙に笑って死んじゃうシーン、今日のリンチを観て思い出しちゃった。基本的にデ・パルマの映画は独特の陰影感・映像美が大好きなんですけどね。

だめ。映画談義をするとキリがないのでやめておきます。

それにしてもタランティーノさん、昼間は何の本を読んでいたんだろう?
まさに「真夏の夜の夢」のような出来事で、あれが現実だったかどうかもまだしっくりこないほど。更に惚れました、タランティーノさん!!


おかげさまでリンチの映画の話題なんてすっとんじゃったよ(^-^;