世界ふらふら放浪記

雑記と人生の備忘録

報われるかもしれない努力

金子茂樹さんという脚本家がいて、前回深夜枠で「俺の話は長い」というニートのめんどくさい息子を取り囲むあったかホームドラマがありました。それが何気に秀逸だったので毎週観ていたのですが、今回「コントが始まる」というドラマも同じ脚本の方が手がけていたので観てみると、これが結構突き刺さる青春群像なんです。

 

 

 

これからどうやっていこうかなと思い悩む20代後半の悩みはけしてその年代だけのものではなく、一般的にごくありふれた日常の中の苦悩がさらっと展開していきます。

 

前回のシーンで印象的なものがありました。

「努力は報われなかった」というセリフです。

 

 

最近、浅田真央ちゃんに続く日本のネクストアイコンに押し付けられてしまうのではなかろうかとハラハラしているスーパースター池江璃花子選手。復活までの長い道のりをドキュメンタリーで何度か観ていたので、オリンピック代表を決めた時のインタビュー「努力は報われるんだなと思いました」の涙目会見は私ももらい泣きをしそうになりました。

 

がしかし、我々のような凡人の努力は本当に報われるのだろうかと疑問に思った方がいたら挙手してください。

 

このモヤモヤした気持ちが、前回の「コントが始まる」でスッキリ解消されることになったのです。

 

 

 

 

お笑いを目指している高校の同級生三人組は、売れないまま月日が経ち気づけば30歳手前。もう解散しようかと悩んでいるのですが、その内の一人(菅田将暉)が「こんなに真剣にやってきたんだから、いろんなことを犠牲にしてきたんだから、いつか報われなくちゃ嘘だろうと思ってきた。心のどこかでいつか自分たちは報われると信じてきた。でも残念ながらその努力は報われなかった」と吐露します。

 

 

すると、彼らのファンの元OL(有村架純>会社をクビになって今はファミレスでバイト中)。

 

「すぐに報われなくても後から遅れて結果が出る努力もあると思います」

 

という名言を吐きました。

 

意味がわからないという菅田くんに架純ちゃんがこう説明します。

 

 

昔高校で花道で全国3位まで行ったけど優勝できなかった。全国3位でも十分なのだけど自分たちは優勝を目指していたのでとても悔しかった。だけど先日ファミレスにきたお客さんにたまたま活けてあった花の名前を聞かれて全て答えられた時に、「初めて頑張ってきた自分を肯定することができたから、お笑いやってきた10年も無駄じゃない」というのです。

 

つまり。

努力が報われるというのはけして結果や成功だけが全てじゃないということなんだと思います。

もちろん結果として目に見えないものは悔しいことだし何が足りなかったんだろうと思うこともあります。そうやって苦しい時代を捨て、別の時代に生きることを決めて、変化し、少しずつ忘れていく過去になったとしても、その記憶は頭のどこかにピタッとくっついていてきっとどこかで自分の役に立つことがある。結果として誰かに認められなかったとしても、そういう気づきも「報われる」というかたちの一つなんじゃないかな。

そう思いました。

 

 

 

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私も全く同様の経験があって、その時のことを思い出しました。

この時の高揚感というか多幸感は今でもはっきりと覚えていて、これからも忘れないでしょう。最近この記事に星をくれた方、ありがとう。とても嬉しかったです。

 

リル・シュル・ラ・ソルグ - 世界ふらふら放浪記

 

 

 

 

 

 

<付録>

最近のドラマは脚本家メインで観ることにしています。以下、大注目中。

 

  • 不器用にしか生きていけない人を描いたら右に出るものはいない坂元裕二さん。
  • 親が先にあの世に逝くという先入観を覆した近年稀に見る大傑作「俺の家の話」の宮藤官九郎さん。
  • 何度みても心が温まる「昨日なに食べた」の安達奈津子さん(今朝ドラやってます)。
  • そして「俺の話は長い」「コントが始まる」の金子茂樹さん。

 

以上。