さて、タスコの丘の上にあるキリスト像まで歩いて行く途中の様子を引き続きお伝えします。
とにかく家が密集していますので、坂はキツイけど景色は飽きずに歩いて行けるところはメリットかな。
坂がもう坂じゃなくてむしろ壁みたいに感じてくる。
家の基礎が不安になりますが、それなりに考えて建てたんでしょうね、一応。
日本のような厳しい基準では一発アウトな感じです。
もはや坂じゃなくて壁だな。
この山肌一帯に住んでいる住人全員を褒めたい。
キリスト様が近いようで全然遠い!
かの映画監督であるデビッド・リンチはその昔東京を訪れた時に「電線が複雑に絡まっているその風景がアートそのものだ」と言ったそうですが、メキシコに来ても同じセリフをいうのかしらねえ。
万が一この地方に雪が降ったらこの区域住人全員外出禁止になりそう。
ウーバーイーツも無理。
小さい頃から登り慣れればなんのその、なのかな。
こういう人気のないところを歩いているとなおさらコーラみたいな商業的なものを目にするだけで非常にホッとします。
どこからか熱視線を感じて上を見ると犬がいました。
このワンちゃんがですね〜、もうとてつもなくご立腹な様子で怒りのオーラむき出しだったんですよ。で、ちょっと心をほぐしてやろうと思ってアイコンタクトしたり声を鳴らしたりしてみたのですが、やればやるほど逆効果で敵対心むき出しどころか、今にも飛びかかってきそうな感じだったのでからかうのはやめときました。
写真で見ると大人しそうに見えますけどね。
激おこでしたよ。
すごい重低音で唸り倒されました。
わーかわいいー!チーム子犬ちゃん。
で、ここまで来た時にもうマジで引き返そうかと思いました。
これ以上登るわけ??
でも登りましたよ。見て下さい。上から振り返るとこんな景色が見えました。
この階段を降りてるおじさんが「あともう少しだからがんばれ〜」と声をかけてくれましたのでもうちょっと頑張ることにしました。
そしてやっと平地にたどり着いたと思ったら、右と左どちらに向かえばいいのかわからなくなり、その辺を歩いていたメキシコ女性にすがる思いで話しかける。聞くことはできても何をいてるのかさっぱりわかりません。ジェスチャーで判断するしかない。
と思いきや、通りすがりのメキシコ男性がちょうどアミーガの家に遊びに行く途中だから道案内してくれると言うので先導役をお願いしました。
下手なスペイン語で必死に会話を試みながら歩くんですが、山の斜面を指して「ここから登れば近道なんだけど今回はもっと楽な方の道を教えるね」との事。はい、それでお願いします。
それにしても人っ子一人いないのね。
こんなところで見知らぬタスコの男性と二人きり。
このまま死ぬんじゃないか。
と、本気で不安になりました。
会話も続かないしほとんど山登りみたいなものだし沈黙になるし人はさっき欧米人のカップルとすれ違ったけど彼らはもう下って行ったし。
もうこのまま死んじゃうのか?万が一ここでどうにかなっても完全に孤立無援。よくある山中での殺人事件とかってこういうシチュエーションで、抵抗むなしく死んで行くんだろうと思うと恐怖というよりも絶望的な気持ちになり、危険センサーも今反応したところで手遅れだと思いました。
すっかりうなだれてタスコ人と距離を置いて歩いていたら不意に着きました。
「ほら、帰りはあそこにタクシーが一台あるからあれで帰ればいいよ。俺はこのあとアミーガの家に行く予定だからここでお別れだ」とタスコ人。
アミーガの予定が優先だったのにこんなところまで山登りしてくれてありがとう。暑かったし、なんだったら手土産にコーラでも買って行けばいいとチップを渡しました。最初はいらないって言ってくれたけど、喉乾いたと思うし殺されもせず暴力も受けず無事に着いて安心したのでここはほんの少しのペソを握りしめてお礼を言い、手を振って別れました。
そうだよ。キリスト像のふもとで悪いことする奴なんかいないよね!
(そんなこともないだろうけど)
日陰のないところで堂々と寝そべる犬。
頂上にはちょっとした売店みたいなのもあり、観光客が数名いました。
(このあと彼らにタクシーを先取りされてしまい。。。)
なんちゃってリオ・デ・ジャネイロ、来たぞーーーーーーー!
さて、そろそろ下に降りないと時間がない。
さっきの獣道をひたすら急ぎ足で下り、大きな道路に出てちょっと悩む。
このまま歩いて一気に下るかタクシーに乗るか。
そもそもこんなところでタクシーなんて捕まるんだろうか。。。(心細い)
一人の少年が自転車でフラーっとやって来て「ここの階段をまっすぐ降りてXO%$$#XX&#%」と言われたけどさっぱりわからん。ムーチョスグラーシャスと笑顔で答えておきつつ、奇跡的に空車のタクシーがやってきたのでやっぱりタクシーに乗ることにした。
と言うことで、タスコ名物フォルクスワーゲン初試乗。
ムービー撮ってきたのでよかったらご覧ください。
いや〜登るのに一時間以上かかったような気がするんだけど下りはものの3分だったYO!
ソカロについて、改めてしたから仰ぎ見るキリスト様。合掌。
ほとんどこのキリスト像までの道は「山登り」に近いものがありました。
しかも!
ガイドブックに全く触れられていなかった脅威の隠れスポット。
タスコの迫り来る坂道を歩けば、あなたも翌朝両足筋肉痛間違いなし!
とにかく大冒険三昧のタスコ日帰りの旅。
メイドインチャイナと思しきシルバーアクセサリーなんか物色する暇あったらこっちにくる方がいい。
昔からのタスコの街並みが一望できるだけじゃなく、人々の生活の一部を登りながら垣間見ることができてますますメキシコに愛着が湧いてきます。タスコにきたら間違いなく一押しの太鼓判スポット。大迷路マーケットとここは必須です。