オアハカから夜行バスに乗って朝早く、メキシコはチアパス州にあるサン・クリストバル・デ・ラス・カサスのバスターミナルに到着する。
降りたところで右も左も分からない。インフォメーションセンターもないし、WiFiもないから携帯も見れないし(そもそも怖くて携帯を人前に出せないのでまだしっかりと腹巻きポケットに隠してある)どうしようもない。なんとなく「地球にはぐれる」感覚が懐かしい。昔バックパッカーしていた感覚が蘇る。不安よりもやる気がみなぎってくる。
メキシコはなんだかんだ言って30年以上前のスタイルを未だに貫いていることがわかったので、自分の足で出向いて情報を取りに行かなくてはならない。つまり、チケットの購入、時刻表、一日に走るバスの本数などは窓口に直接行ってゲットせねばならない。
だだしそれを効率的にやらないと、窓口の営業時間は午前中のみだったとか、すごい行列に待たされたとか、やっと自分の番になったら容赦なく窓口が閉まる、など思いもよらない出来事が起こる可能性も高いので、到着後速やかにそのまま窓口に行って帰りのチケットを買うのが何よりも賢い方法。そしてチケットを買ってホテルまでの距離感をしっかり頭に叩き込んで移動することが次に重要なこと。
と、偉そうに書いてみたものの、到着があまりにも早朝すぎて窓口が開いておらず、後日出直すことして仕方なくそのままホテルへ直行することに。
バスターミナルにタクシーも何台かウロウロしていたけど、けして強引に客引きをしてこずおとなしく黙っているあたりに南部メキシコ人の控えめな性格を垣間見る。
(ギリシャやモロッコなんて髪の毛振り乱して食らいついてくるというのに)
というわけで、本当に地球の歩き方一冊だけでこの町を乗り切った。
そもそもそれほど大きい街でもないし、三日間の滞在だったからそれほど不自由もしなかった。
この地図の一番下に「一等バスターミナル(OCC, ADD, GL)」と書いてあってペンで丸をしているところがバス発着所。もちろん予約したバス会社によって異なるようだけど、空港までの直行バスもOCCでやはりここから出るので、サンクリストバルデラスカサスを訪れる人は大方の場合おそらくここが発着点となると思う。
なんというか、私はもともと地図に強い方なので、ある程度頭に叩き込んでおけばそこにたどり着ける。よっぽどのことがない限り迷子になることはない。それでもこの地図だけでよく乗り切ったなとは思うけど、地球の歩き方の補足情報が相変わらず優秀だったのでとても頼りになった。
サンクリストバルデラスカサス、到着初日。快晴。
すっかり日も上がって気持ち良い。朝は少し冷え込むので長袖が必要な5月の朝。
オアハカ同様狭い歩道と車の大渋滞が連なる道中を必死に移動していたので、到着直後はこの写真一枚のみ。目に見えるもの全てが想像したこともなければみたこともない風景ばかりで、歩けば歩くほどテンションが上がる。「ああ写真で見たあの場所に本当に来ちゃったんだなあ」と一人幸せを噛み締める。東京での日常や様々な出来事がもう遥か遠くに霞んで全く見えない。
サン・クリストバル・デ・ラス・カサスも素晴らしい町だった。
土埃とサボテンのある集落に民族衣装を着て今でも暮らす日に焼けたメキシコ人。そんな異国情緒あふれる異文化が旅情を誘い、いつか必ず目の当たりにしてみたいと思っていたけれど、メキシコもさすがに変化を遂げているようでそんなイメージを実際に見つけるのはとても難しいと言っていいだろう。
そのかわり想像もしないようなもう一つのメキシコを見たようが気がした。
(続く)
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サン・クリストバル・デ・ラス・カサス
San Cristóbal de las Casas
(このファーストインプレッションから全てに至るまでの感動がちょっとトルコに近いので、昔書いたトルコネタを載せておきます)
ヤフーブログ時代に書いたやつです。
当時皆さんから頂いたコメントを引き継げないのがとても残念。