世界ふらふら放浪記

雑記と人生の備忘録

生ハムとメロン

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ある人が言う。
「あの人は週に一度スカートをはいてくるの。でもね、普段ヒールなんて履きなれてないから席の移動が少ないの。疲れちゃうからよ、着慣れない服に履きなれない靴。水曜日、水曜日に履いてくるの。でね、水曜日は必ずHRの人とランチにいくのを知ってるの。何でかっていうとね、HRの人は旦那が外国人なの。あの人も最近韓国人と付き合ってるらしいから、きっと結婚間近で『国際結婚』ってやつのHOW TOを聞きたがってるんだと思うの。」

もう1人の人が言った。
「絶対そう。そうに違いない。」

隣の人が言う。
「バカねー。あの人英語が話せないからって部署が違う私に『通訳やってくれ』って言うの。こっちも忙しいのよ。一時間でも席を空けるって事がどれだけ大変なことか分かってないのよ。あの人、暇だから。」

お向かいの人が言った。
「あれ?もう帰るの?」

私はニッコリ笑って言った。
「ごめんね、明日早いから。」

「気をつけてね~」


薄いお酒。冷めた料理。固い椅子。乾いた会話。


その日の夜はとっても冷えて、もう4月なのに「手袋を持ってくればよかった」と小さく後悔。
家路につく間に、何を聴いていたのかは覚えていない。
ただ、その日中、めいっぱい使った集中力がプツンと切れて疲れがドロッと湧き出てくるような感覚になったことだけは覚えている。


家について何となく飲みなおす。
すごくすごく眠かったけどまだ眠りたくなくて、そんな時にいつも思い出すのが
「一日くらい眠らなくたって死にやしないし。」
でも結局睡魔には勝てず、結局眠ってしまうことになるのだけれど。

翌日バスに乗った。
そしてなぜか、ふと「生ハムとメロン」を思い出した。
完熟のオレンジ色をした豊潤なメロンと、ピリッと塩のきいた濃厚でなめらかなハム。

ポカポカした陽だまりはとてもあったかくて、
そこにまるごと身をゆだねながら、そしてまた何となく思った。
「ここは幸せだな・・・。」