檻の中の懲りない面々

「動物園に行きたい」

ボソッと旅友が言った。

動物園？！小学生でもあるまいし、動物園に何しにいくの、と尋ねると

「世界でただ一頭しかいないゴリラがいるの。白ゴリラっていうの。」と言う。
私達の旅は「行きたい」と思う気持ちをお互い尊重しあうのが暗黙のルールなのでとりあえず行ってみた。

バルセロナ動物園

白ゴリラ～？黒い毛に白いスプレーでペイントしてるだけなんじゃないの？なーんて、全くドライな気持ちでいざ入場した私は･･･
スペインの子供たちと一緒に（押しのけて）ガラス越しの檻のまん前を陣取り、大興奮してしまいました！！

地球の歩き方にはこう書いてある。
「バルセロナで最も有名な白ゴリラはサービス精神旺盛。きっと君の前でも豪快なパフォーマンスを繰り広げてくれることであろう。」

さぁ、白ゴリラ君の登場です！！！！

＞「あちぃな～」

＞「こんなに毎日暑かったらやってらんねーなー。これ以上脱ぐわけにもいかないしよ。」

いやはや、白ゴリラくんは上記2枚の写真の状態で微動だにしない。子供たちの歓声も上の空、ゴーイングマイウェイ。15分くらいこんな状態が続く。
旅友と私→「白ゴリラ、全然やる気ないじゃん（笑）」

あっ！動いた！

＞ムク。

＞ムクムク。

＞ワチャー！！（キャッ）

こ、これがかく言うパフォーマンス？
ノーマルゴリラくんよ、お手本をしかと見せてくれ。

＞「これが本当のサービス精神というものだよ。」キャーキャー！！

私達が訪れた日は、白ゴリラくんはちょっとご機嫌ななめだったみたいでした。
普段はノーマルくんくらいやってくれるらしいんだけど、
人と同様に、「そういう気分じゃない」時もあるみたいです。
そりゃー仕方ないですね。

残念ながらこの白ゴリラくんは数年前に天国へ逝かれました。
当時、バルセロナの街角にはガウディの建築作品が一堂に並ぶポストカードの片隅に、白ゴリラくんのベストショットのハガキもこっそりと並べられており、バルセロナの地図には「zoo」という文字の横にも彼のハニーフェイスなイラストが載ってました。

皆に愛された白ゴリラくん、ご冥福をお祈りします。
今度は天国でみんなを喜ばせてね！