世界ふらふら放浪記

雑記と人生の備忘録

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ロング・グッドバイ/レイモンド・チャンドラー

私が村上春樹さんの翻訳した海外文学を読むのは多少贔屓している部分も否めない。 だけど、村上文学を愛する以上、彼の手がけた作品を素通りするわけにはいかない。 なぜなら、彼の優れた翻訳能力と作家の手腕が、過去のあらゆる古典文学に息を吹きかけ的確…

芸術の慰め/福永武彦

昨日近くまで友人が遊びにきていたので呼び出されて二つ隣りの駅まで出向きました。 いつものようにいつもの通りを歩きながらおしゃべりし、いつもの古本屋へ入りました。 正直言ってそこの古本屋は普段からあまり期待していないのでおつきあいで立ち寄った…

夢をかなえるゾウ

私が師と仰ぐ御大が貸して下さった本。 夢をかなえるゾウ/水野敬也 これ、去年かなりブームになってましたよね。 うだつのあがらない青年のもとに、どらえもんの如く突然ガネーシャが訪れて成功するまでの秘訣を伝授していくといった物語になっています。 …

ポール・オースターの世界へようこそ

私が愛してやまない作家を挙げてみます。 1. 村上春樹 2. ジョン・アーヴィング 3. ポール・オースター では次に、「お願いだから終わりがこないで」と思ってしまうほどおもしろいと思った本を挙げてみます。 1. 月と六ペンス(サマセット・モーム) 2. カラマ…

未亡人の一年/ジョン・アーヴィング

文句なしにおもしろかった。 やはりアーヴィングは相性がいい。 (あらすじ) 高校時代の夏休みに作家の家でアルバイトを始めたエディ。そこでは絵本作家で浮気体質の父、二人の息子を亡くした死から立ち上がれない美しい妻マリアン、そして無邪気な4歳の女…

犬の人生/マーク・ストランド

キタキタ。 このところ3連続でアタリの本に出会っていますので頑張ってレビューしたいと思います。 まずはこれから。 犬の人生/マーク・ストランド著(村上春樹:訳) ■ある男が何度も何度も恋に落ちる話。「真実の愛」 (一部抜粋) それから一週間ばかり…

the point where you want to be back to.

去年の暮れに、隣の席の男の子が「ねーねー、自分の過去に戻るとしたらいつに戻りたい?」と聞いてきました。 私の回答を言う前に・・・皆さんはいつ頃に戻りたいですか?またその理由は? 興味があればちょっと考えてみてください。その間に私のつたない小話を…

プリンの本

これを本屋さんでみたとき、激しく心を打たれ、揺さぶられました。 なぜならなにもかもが完璧なカスタードプリンがあまりにもまぶしすぎるからです。 この表紙を眺めているだけでものすごーーーく癒され、且つ平和な気持ちになれるので即買いしました。 いつ…

心臓を貫かれて/マイケル・ギルモア

(あらすじ) 無差別殺人により死刑となった兄と、その一家の歴史をたどった回顧録ノンフィクション。 『血は我々にとっての唯一の永遠の歴史であり、血の歴史は改訂を許さない』 時に、一般的な概念というのは、ある種の人々を苦しめる。 1.なす術もないこ…

詩の宿題

エイミー・ベンダーの新作を読んでいたら、こんなくだりがあった。 「とうもろこし畑の絵を描いたら、先生はなんてとっても美しいとうもろこし畑なの、と言った。私は確かにとうもろこし畑をかいた。しかしそれはよく見ると穂の一つ一つがきらめくナイフがぶ…

かたあしだちょうのエルフ

(ポプラ社HPより抜粋) わかくてつよくてすばらしく大きなだちょうのエルフは、草原にすむ動物の子どもたちの人気者でした。 ところが、ある日、子どもたちをまもるためにライオンとたたかって、たいせつな片足をなくしてしまいます。 はじめのうちこそみん…

さまよう刃/東野圭吾

東野圭吾さんの本は一度読んだ事があるのですが、どうも苦手なジャンル。 たまたま会社で横に座ってる東野ファンが貸してくれたのでサラッと読めるなら一気に読んでサッサと返そうと思い読み始めたら・・・。 かなり社会派でとても読み応えがありました。 (あ…

旅の絵本/安野光雅

ポルトガルのネタを書きながら思い出した。 これも人生カーブ本とまではいかないけど、今思えば子供時代の私に知らずのうちに影響を与えたのかも。 初めの一冊は従姉のお姉さんにもらったのがきっかけで、 それからは新しいのが出るたびに図書館の大きい木の…

黄色い雨/フリオ・リャマサーレス

「沈黙と記憶に蝕まれて、すべてが朽ちゆく村で、亡霊とともに日々を過ごす男。 悲しみや喪失といった言葉はこの小説に必要ない。 悲しみや喪失は、ここには空気のように存在しているのだから。 なのに、なぜ、すべてがこんなにも美しいのだろうか。 (柴田…

犬にどこまで日本語が理解できるか

以前、ネコの「チッチッ」話を書いたのですが、私は動物言語みたいなのに少しだけ興味があるみたい。 ほとんど「我が家の犬自慢」でした。 後半にこの本の問いかけに対する答えがチラリと見られましたが、結局何一つ結論がありませんでした。 期待して読んだ…

レ・ミゼラブル/ヴィクトル・ユゴー

小学生の頃、何度も繰り返し読んだ本「ああ無情」。 だってジャン・ヴァルジャンは飢えに泣く家族のためにたった一切れのパンを盗んだだけで悪者になっちゃうんですから、子供ながらに全く解せなかったんです。 なんで誰かを助けようとしたら罪になっちゃう…

思い出す人/エイミー・ベンダー

人間だった彼を見かけた最後の日、彼は世界はさびしいと思っていた。 これは異常なことじゃない。彼はいつだって世界はさびしいと思っていた。 それが私が彼を愛していた大きな理由だった。 私たちは一緒にすわり、さびしくなり、なぜこんなにさびしいんだろ…

ミスタ・サンダーマグ/コーネリアス・メドヴェイ

ある町にヒヒがやってくる。 ヒヒは流暢にヒトの言葉を話す。スルスルと、それはまるで毛糸玉がほぐれていくようにとても自然だ。 彼はどこからやってきたのか、またなぜヒトの言葉を話すのか、誰も知らない。 彼は窓越しから覗き見たテレビ番組からある言葉…

恋文/連城三紀彦

ある日。 晴れた昼下がりに、殿方が言う。 「昔付き合っていた彼女に会ったんだ。彼女は余命が短いことを知らされた。昨日あいつを病院でみたら、雪みたいに真っ白だったんだよ。今じゃ身よりもいないし、たった一人で死期を迎えている。同情なんかじゃなく…

激突とクージョ

以前お友達にサプライズで頂いた本。 アマゾンで10円の叩き売りをしていたらしいですが、これって地味だけど結構な名作です。 1.「激突」リチャード・マシスン (あらすじ) 謎の巨大なトレイラーに執拗に追いかけられる話。以上。 これはスピルバーグの映画…

はつかねずみと人間/ジョン・スタインベック

大好きな本です。 (あらすじ) しっかりもののジョージと、ちょっとおつむの弱いレニーは幼なじみの労働者。 いろんな農場を二人で渡り歩いては小金をためる日々。 でも二人の間には、先の暗い未来は全くみえてこない。 なぜなら彼らには、大きな夢があるか…

「一番低い木にも梢はある」

一番低い木にも梢はあるし、蟻にも恨みはある、 蝿にもいら立ちはあるし、火花にも熱さはある。 ほっそりとした髪も、かすかではあるが、影を投げかけるし、 蜂も大きくはないが、針を持っている。 海にも水源はあるし、浅瀬にも泉はある、 そして乞食にも王…

王妃マリー・アントワネット/遠藤周作

遠藤周作の本を読んだのは中学受験が終わった冬の終わり頃。 図書館で何気なく手に取ったのがきっかけでした。 そしてこの一冊によって私の人生が大きくカーブしていく事になるとは夢にも思いませんでした。 <私がヨーロッパに興味をもった理由> 1. 遠藤周…

パーとピーの夜話

(まえがき) 「このお話を最後まできちんと読めた人には、文化勲章を捧げる」=無理して読まなくてもOK Who reads the longest story here, beabea will dedicate a wonderful gift you've never seen. ピー:きのう『ベルリン、天使の詩』をみた。 パー:…

ムーンライト・シャドウ/吉本ばなな

基本的に吉本ばななさんを好んで読むことはあまりありません。 しかし。 私が一つだけ、強烈に印象に残ったお話がある。 やっぱりこの作家って人はすごいなって思います。 これは「キッチン」にこっそり入っている短編小説。30分もなく読み終えてしまいます…

東京タワー/リリー・フランキー

皆様、もう読まれましたか? 私は文庫本になってから読もうと思ってたのですが、売れるからでしょう。 そうは問屋がおろさない。 というより、ドラマのもこみち君に先をこされるのが何となく嫌で買いました。 さて、私は大を100回つけてもいいくらいの「北の…

停電の夜に/ジュンパ・ラヒリ

ある日古本屋さんへ出かけた時のこと。 この「停電の夜に」の単行本が3冊も、ひっそりと書棚に隠れているのを見て、とってもしんみり気分になりました。私が全部買占めしてやりたくなったほど。 ハードカバーで売られている時から読みたいなと思っていて、 …

ガープの世界(上)(下)/ジョン・アーヴィング

「ガープの世界」 これを読んで、なぜもっと早く読んでいなかったんだろうと愕然とした一冊です。 小説って、その主人公が好きになればなるほどのめり込むと思うのですが これほど魅力的なガープという人間性を創り上げたジョン・アーヴィングの世界観に敬服…

月と六ペンス/モーム

2006年は私、本の「当たり年」で数々の素晴らしい本に出会いましたが、これはそのきっかけとなった本です。恥ずかしながらも私はこの本を初めて読みました。 そしてあまりにも引き込まれる展開に先を進むのがもったいなくて、大切に大切に読みました。 これ…